日常生活のありとあらゆるところに化学物質が増えた現代の世の中、アトピー性皮膚炎・花粉症・食品アレルギー・ぜんそくといったアレルギー性疾患の症状が増えてきています。今や赤ちゃんでさえもアレルギー性疾患にかかるのです。
金属アレルギーはこのアレルギー性疾患の中に含まれます。他のアレルギー性疾患と同様、体にもともとある免疫システムの変調から起こり、慢性化して患者さんを苦しめる病気です。そしてその原因の1つに「歯科治療の金属製詰め物・被せ物」によって症状が引き起こされているのではないかと考えられています。
アレルギー性疾患の基礎
免疫システムとは
免疫システムとは、ウイルスなどのさまざまな侵入物(敵)から体を守るシステムです。食物など自分以外の物質が体内に入ってきたときに、それが体にとっていい味方(栄養など)なのか悪い敵(ウイルスなど)なのかを判断し、悪いものならば素早く体外へ排出します。それがウイルスなどであれば闘い、殺して、体の健康を守ろうとします。
免疫システムの変調
免疫システムが正常に働かず、本来なら敵ではないものにも過敏に反応してしまい、自分自身にも炎症を起こしてしまう…これがアレルギー反応です。
金属アレルギーの基礎
一般的な金属アレルギーは、金属が皮膚に接触して発症します。そのため、金属アレルギーの多くは皮膚の症状となって表れる場合が多いのですが、金属が直接触れていた部分に症状が起こるとは限りません。
例えば、アトピー性皮膚炎といった顔や身体など直接金属が触れていない部位に症状が出ることもあるのです。これは、ネックレスや指輪などの身につけた金属が汗などによって溶けて皮膚に接触することによって、これに免疫システムが過剰に反応して炎症を起こすのです。(アレルギー反応)。
“金属が溶ける”というのは熱で溶かされるというものではなく、目に見えない分子レベルでの話。金属分子が汗の中に「金属イオン」となって徐々に入り込んでいくのです。
それではどのようなものが金属が溶け出しアレルギー反応として症状が生じる可能性があるのか。それは化粧品やヘアピン、メガネのフレームなどに含まれている水銀、ニッケル、クロム、などのアレルゲン(アレルギーが生じる原因とされるもの)が、全身のアレルギー疾患の症状を引き起こす可能性があります。
湿疹やかぶれといった症状にお悩みの方は「湿疹・頭痛・不眠・肩こりなど金属アレルギーのお悩み別診断」をご覧ください。
金属イオンが体内に入ると…
金属イオンが皮膚のタンパク質と結合すると、免疫システムが「異物侵入」と判断します。これはアレルギー症状が起こる前段階「感作」と呼ばれます。この状態で同じ金属イオンが再びタンパク質と結合すると、体内に準備されたリンパ球(異物を撃退する白血球細胞の一種)が金属イオンと一気に闘い始めます。 ? ところがこの闘いが激しすぎると、皮膚組織に炎症を起こす化学物質がまき散らされ皮膚炎が起こります。この皮膚炎こそが「金属アレルギーの症状」となるわけです。